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DPCで変わる急性期病院の意識と経営


2003/04/17 
株式会社 サイプレス 
代表取締役 伊藤雅教 


DPCという包括医療制度が特定機能病院で平成15年4月から始まった。慢性期や介護等ではすでに定額制度は始まっていたが、日本版のDRG/PPS(定額制度)としてのDPCがいよいよ急性期医療の分野に到来したといえるであろう。

それでは1983年から米国で始まったDRG/PPSが病院にどのような影響を及ぼしたのかを見てみると、病院数は毎年のように減少し、1983年には100万床以上あったものが1995年には90万床を割っている。病床利用率も下がり1995年には60%を割っていた。さらに在院日数は非常に短くなり、現在では5日前後の平均在院日数になっているところが多い。

病院の生き残りをかけた改革が負け組みを作ったのは確かであるが、米国の勝ち組の病院は定額制度の下で利益が増加し、利益を再投資に向け圧倒的な強みを発揮してきた。その結果、勝ち組は病院の買収やグループ化を促進し、強大な組織になったものが多い。面白いことにDRG/PPSを導入したが、米国の医療費は減少していない。

日本でもまったく同じことが起きるであろうと予測している。勝ち組の病院では定額制度の中、低コストで医療を実施する努力を継続し、利益は増大する。利益を更に、高度で高質な医療を構築するための投資に向け、地域医療支援病院などを獲得して地域住民にも認知度を高めていくであろう。

それでは米国で勝ち組になった病院の改善策を紹介しよう。

疾病ごとの定額制になったため、収入と経費及び損益分岐点の分析を開始した。現実には医療収入の情報は定額制のために簡素化されたが、経費の情報は膨大な情報量であり、そのデータをアクセスやエクセルのデータに変換し分析を開始した。

人件費、薬剤費、医療材料費、委託費、修理費、事務用品費、その他経費を支出簿の経理項目ごとに分類し、入院にかかる経費をはじき出した。この分析から以下の改善策を講じた。

1.間接部門(手術部、ICU、放射線部、検査部、事務部など)の
  1日にかかる経費が明確になり、黒字化への最低限の収入の目安
  とし、これ以上の収入になるようシミュレーションを実施した。
2.在院日数を何日短縮すると黒字化するかが明確になり、
  具体的な短縮のためのターゲット日数を設定した。
3.赤字と黒字の疾病が明確になったため、戦略的に紹介患者獲得
  疾病をきめ、地域に広報活動を実施し患者を増やした。
4.疾病治療のための直接費である、薬剤費や材料費で経費の高い
  ものを明らかにした。標準化が可能で経費節減できるものには
  医師にインセンティブを設定し促進した。
5.共同購買によって経費の節減が可能なものはメーカーと
  購買契約を締結し経費削減を実施した。
6.委託をしていた業務を廃止し、院内職員で実施し経費を削減した。
7.業務効率を向上するために優秀な人材をヘッドハンティング、
  あるいは優秀な学生をサマーインターン制度で採用活動を強化した。

勝ち組の病院では、優秀で意欲的な人材を獲得し、更なる改善へと進んでいった。結果として事務部門でも医療職の人材の中でもMBAやMHAの経営修士を持つ人材を獲得できた。

さて、日本では同様な変化がすでに起きている。医療法人では有名ないくつかのグループが共同購買を促進している。不況のもと他業界の管理職を積極的に病院職員として採用している。また勝ち組を目指す民間病院ではすでにDPC分類で黒字化の方法を確立しているところもある。

このように、変化を先取りして改善策を講じる病院では、本来の目的である、患者負担の少ない、満足度の高い医療を提供するため、他の病院よりも速いスピードでの変化を達成しなければならないと経営層も職員も意識を新たにしている。

翻って、DPCによる包括医療の開始であたふたとしている特定機能病院も多々あるのは情けない。制度変化があるときには、制度よりも速い自己組織変革が必要である。自己変革のスピードが速ければ、職員の学習量は増加し、組織が活性する。勝ち組になる絶好の機会到来として捕らえるべきである。

我々が関わっている特定機能病院では、すでに経費分析を開始し、戦略的な改善策を策定中である。もう1〜2年すると、特定機能病院の中で患者に選ばれるトップ10の雌雄が決定しているのではないかと思われる。

株式会社日本医療企画 発行 「Phase3」 2003年6月号より転載

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