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手術数が減少しても黒字化する方法:第2話


株式会社 サイプレス 
代表取締役 伊藤雅教 


前回は手術の効率的な運営方法を組み立てるときの指標を示した。実際に400床から900床程度の急性期病院で実施したケースでは、最初の約8カ月で500〜600症例が増加し、1億5,000万円から2億5,000万円の増収となった。8カ月の後半の1〜2カ月では月間5,000万円程度の増加となる。

ある東京の私立大学病院では、数年前にアメリカの大学病院を見学するため訪問した。当時この私大病院の年間手術件数7,000例に対し、同規模のアメリカの大学病院では2万4,000例であったことに愕然としていた。現在この私大病院では少々改善したものの、年間8,000例を超えたに過ぎない。人員体制などアメリカとの違いもあるため、一概に努力不足だと非難することはできないが、大学という性質から、若い外科医を教育するためにも多数の手術を安全に行うことが望まれる。

民間病院ではたった8カ月で手術数を15〜20%増加させ、医師の習熟度も成功率も改善している。大学病院で数年かけて15%の改善では、改善のスピードが遅すぎると言わざるをえないし、外科医の習熟度を高めることも難しい。

それでは手術で黒字化する方法の第2話として、いくつかの手法を紹介しよう。まず、術式ごとのコストの改善である。大きく人件費の改善と材料費の改善に分けられるが、第1話で紹介したように手術の回転が効率化し短時間で手術が実施されると、関与した医師、看護師、麻酔医の人件費は減少する。同じ術式の場合でも医師によって効率の悪い手術が行われている現状の是正には、医師ごとの手術の収入と手術室利用時間と経費を表にして手術室に張り出すことによって競争を生むことができる。同じ診療科の外科医同士だけではなく、たとえば整形外科医と脳神経外科医の異なる診療科の椎間板ヘルニアの手術を比較するとより外科医間の競争的な改善がされる。

把握が難しいといわれる経費の分析方法について、経費は人件費、材料費(薬剤+手術材料)、手術室共通運営経費に分類する。手術室共通運営経費とは、手術室の運営上に必要なクラーク人件費、事務経費、保守経費、消毒剤など、ある特定の手術の経費としては計上できない共通の必要経費をいう。人件費と手術室共通運営経費は、手術時間ではなく手術室利用時間で振り分ける。麻酔部を収益部門としてではなくコスト部門としてとらえる場合には、この方法を採用する。ちなみに医師の1時間のコストは通常2,500円〜9,000円程度である。

次に材料費を手術ごとに把握する。手術室では術式ごとに使われる薬剤と材料のリストが作成されている(術式別材料リスト)。たいていの場合、このリストには薬剤と材料の購入価格は記載されていないし、使用されたかどうか記載する項目すらない。また麻酔のために使った薬剤などの記録もない。したがって、まずこの術式別材料リストに麻酔材料も含めたすべての材料の購入金額を記入し、手術で使用した場合にはチェックができるようにする。さらに診療報酬のためのレセプト用の番号も事前に記入しておく。このリストは毎回印刷したものを用意し、術後に使用材料を記入し、材料経費とレセプト申請用として利用する。これらの準備によって手術ごとの薬剤と医療材料のコスト把握が可能になる。

手術ごとのコストの改善では、同じ診療科内医師の術式ごとのコストの比較表を全員に公開することにより改善を促す。また手術部内での比較では診療科ごとの手術の収入と経費を比較したデータを公開することである。この際、最も優れた部分と最も劣った部分を開示すると効果的な改善が進む。これは自尊心による競争意識による効果だと考えられる。これらのデータの開示を実施すると、6〜8カ月で手術の10〜20%のコストが減少する。

第3話では術前術後の利益の改善の仕方を記したい。

株式会社日本医療企画 発行 「Phase3」 2003年12月号より転載

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