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特化するためのリーダーの悩み - 医療,病院,コンサルティング,株式会社サイプレス

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特化するためのリーダーの悩み

 

株式会社 サイプレス 
代表取締役 伊藤雅教 

 

先日、ある人事研修企業の社長とお会いしたところ、「企業としてどのように他の企業と差別化し、特徴を打ち出すか」を悩んでいるとのことであった。 この企業はリーダーシップ、マネージメント、ストレスマネージメントなどの研修プログラムを運営している。 人事関連の研修を提供する企業は、リクルートのような大企業から個人零細企業まで多数存在し、競争が激しい業界の一つでもあった。 というのも人事研修を手がけていた人材が独立し、起業することも多いからである。ただ、バブルがはじけてデフレが長く続いている状況下で、さまざまな企業が研修に向けていた予算をカットしている。 決して右肩上がりの成長マーケットとは言えない。 しかしながら減収減益の企業があるなかで、IT企業のように成長企業もあり、研修対象の企業も大きく異なってきているとのことであった。

 診療報酬改定による医療費抑制とマーケットの状況がよく似ている。 病院のなかでも勝ち組の病院で患者があふれている病院と、負け組の病院のように待合室がガランとしている病院が実際に存在しているからである。また研修というサービスを売る場合に、どのようなサービスなのか説明し、顧客になるであろう企業が納得しない限り、採用はない。 いかにして研修内容とその効果を説明するかが採用へのキーとなる。最近、インフォームドコンセントでの説明のうまさが増患に大きく寄与すると言われているが、治療の選択肢として、内科的治療か外科的治療か、またそのメリットとデメリットを説明する時に、十分に納得しなかった患者は、別な病院に行きセカンドオピニオンを得るようになってきている。 納得できるような説明がなければ、患者が逃げるということである。

医療のサービスも研修サービスも家電製品とは違って、目で見て製品の良し悪しを判断することが簡単ではないという共通点がある。 またどの研修も受けて見ない限り、その良さが実感できないのと同じように、医療もどの病院のどの医師の治療が良いのか患者にとってはよくわからないというのが実態であり、治療を受けて始めてその良さを知るという共通点がある。さて、この企業の取締役および社員はそれぞれ精力的に仕事をしてきた。 過去の顧客企業の研修評価は高く、継続して受注ができていたが、不況による企業の研修予算のカットによって、研修規模の縮小や研修の延期などさまざまな変化が起きてきた。 これらは売り上げ見込みの不安定化となり、売り上げの成長は鈍化し始めた。

やはり、成長企業を新規顧客として受注しない限り、売り上げ増加は見込めないことは明白であった。 しかしながら、同業他社も同じようにターゲットは成長企業であり、営業攻勢をかけていた。いかにして研修内容が企業のニーズにマッチしているか、そのプログラム内容を説明できる資料を作成することが第1に必要であり、第2には他の企業での採用実績とその効果をうたうことが必要であった。しかしながら成長企業の人事担当者は今までの採用実績の企業リストを示しても業界が異なること、業界の変化スピードが異なることなどを理由に、その効果に対しても懐疑的であり、採用への決断をしようとはしなかった。この企業の社長は研修の内容説明のなかで他社とは異なる部分をより大きくすることによって、差別化を図ろうと考えていた。 社長はそれを「エッジを立てる」ようにしたいと表現した。

次の作業は研修内容のなかで他社と異なる部分が何かを洗い出すことであり、異なる部分をさらに磨き上げて、エッジを立てる方法を組み立てることであった。 このために研修トレーナーと営業担当社員を核に、この分析と開発の作業に入るように指示を出した。さて、医療を提供する病院がどのようなサービスに特化し、他の病院と差別化をするか悩んでいる状況によく似ている。 日本国内には学ぶことができる他業界の事例が豊富に存在することを改めて再認識できるはずである

 

株式会社日本医療企画 発行 「Phase3」 2005年11月号より転載

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