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分析ソフト - 医療,病院,コンサルティング,株式会社サイプレス

 

 

分析ソフト

 

ベッドコントロール対策の見える化

 

【ベッドコントロールの課題とは】

 

病院でのベッドコントロールの課題には、以下のような状況がよく発生しています。

 

 

  • コロナ禍で空床が増えて、収入が伸びなくなった。

 

  • 救急での患者受け入れのために、空床を確保しているが、ベッドが埋まらない時がある。

 

  • 退院を促進してきたら、在院日数が短縮して、空床が目立つようになった。

 

  • 入院と退院患者が多くなって、業務の負荷が多くなってきた。

 

  • 重症患者のためのICUやHCUの稼働率が低いままである。

 

 

 

 上記に挙げた状況が病院の中で発生しているときには、その原因を視覚化できると改善策をとることができます。

 

 

 例えば、新規入院患者の受け入れを常に可能にしながら、空床ベッドが少ない運用方法が構築できると、患者ニーズに対応し、収入と利益を確保することができます。

 

 

 それでは、実際に空床が発生している場合に、特に主な診療科で患者数が多い疾患別に、全国の平均入院日数と比べて(出来高病院の疾患別の平均入院日数と比較、あるいはDPC病院の平均入院日数と比較)、病院の平均入院日数が長いのか、短いのかを見える化すると課題がわかります。

 

 

 早期に退院したため、全国の平均入院日数と比べて残日数(全国の日数―自院の日数)がどの程度発生しているのかと、早期退院したため、全国平均の入院日数であったなら、得られた入院収入を、入院での損失額として、見える化した分析ツールの事例を示します。

 

 

 

1、診療科別に全国平均より短かった日数と損失額の見える化とは

 

 

 疾患別に全国の平均入院日数と比べて早期に退院したため、本来なら入院が継続できたであろう日数を残日数とします。

全国の平均日数と同じ日数で入院できていた場合の収入を損失額として試算した結果を視覚化したグラフが以下です。

 

 

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 内科では、全国の平均入院日数(期間ⅱ)と比べて-1,545日分、早期に退院したために、ベッドコントロール(BC)損失額がおよそ5726万円あったことを示しています。では、この内科の患者の中で、どのような疾患が早期に退院していたかを視覚化したグラフが次の図です。

 

 

 

内科の疾患別の内訳とベッドコントロールの損失額(BC損失額)とは

 

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 内科の疾患では、特に高齢者に多い誤嚥性肺炎で-270日、心不全で-263日早期に退院したことがわかります。この2つの疾患での損失額はそれぞれ、940万円と1007万円だったことがわかります。そのため、特にこの2つの疾患に対して改善策を講じると効果が高いことがわかります。

 

 

 入院日数に関するよくある2つの質問

入院日数が長くなるとDPCの効率性係数の影響はどのくらいあるか、長くする必要もないのではないか・・・

よく質問されるのは、以下の2つの質問です。

 

 

 

 【入院日数に関するよくある2つの質問】

 

  • 入院日数が今よりも長くなった場合に、DPCの機能評価係数Ⅱの効率性係数が悪くなって、減収する額が多くなるのではないか

 

  • 早く治すいい医療を実施しているから、在院日数が短いのは、患者のためにもいいので、入院日数を長くする必要はないのではないか

 

 

 

 入院日数が長くなってDPCの効率性係数の影響額とは

 効率性係数の分布(全病院)

 下図は厚労省が発表している全国の医療機関の効率性係数の分布です。

 

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 自院での入院日数が短く効率性係数がよい場合、例えば上図の効率性係数0.016で全国の病院よりも効率係数が高い場合です。

例えば、こんなに長くなることは少ないですが、仮に15%日数が長くなった場合には、0.016x85%=0.0136の効率性係数になったとします。

 

 

 通常病院のDPC包括入院料は総額の45%程度なので、仮に50億円の病院の場合に45%は22.5億円となりますので、0.016-0.0136=0.0024の影響になり、22.5億円x0.0024=540万円となります。

 

 

 従って入院日数が長くなって効率係数が悪くなっても、病院に対する影響額は540万円程度と想定できます。では、先の内科の5726万円の損失額や、内科の中の心不全の2168万円の損失額の方が明らかに大きな金額であることがわかります。

 

 

 

いい医療を実施しているから、入院日数を長くする必要はないのではないか

 

 病院の主な入院患者は高齢者であり、退院時に自分で食事の摂取ができることと、自分で移乗ができてトイレで排泄ができることが、自宅に帰って家族と安心して住める条件になります。

 

 

 厚労省が行った重症度、医療・看護必要度の調査では、B項目で患者の状態を評価する項目の内、患者本人と家族にとって負担の多い、食事摂取と移乗では、多くの患者で課題を持っている患者が多いことがわかっています。

 

 

 例えば、食事摂取は一部介助が必要ならば1点、全介助が必要ならば2点です。

 移乗では、一部介助が必要ならば1点、全介助が必要ならば2点です。

 

 

厚生労働省の入院医療等の調査(看護必要度のB項目の該当状況)

 

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 上図の、食事摂取で一部介助が必要な1点は35.9%、全介助が必要な2点は30.8%です。

 移乗では、一部介助が必要な1点は33.8%、全介助が必要な2点は24.9%です。

 

 

 ということは、病気の治療が済んでも、自宅に退院しても家族に負担がかかる状況の患者が4分の1~3分の1はいるということのため、院内のチーム医療で、できる限り安心して退院できるように患者に対して対応することは高齢化社会で必要なことでしょう。

さて、本題のベッドコントロールの話に戻りましょう。

 

 

 毎日、患者の状況を評価しながら看護ケアをしているのが、病棟看護師ですので、病棟別にも全国の入院日数と比べて、どの程度の入院日数で運営されているのか、全国の入院日数と同じ日数ならば得られたであろう収入の期間損失額を見える化してみます。

 

 

 

2、病棟別に全国平均より短かった日数と損失額の見える化

 

 

 どの診療科のどんな疾患で早期退院が発生しているのがわかっても、改善策を講じるうえで診療科以外に退院調整には病棟の看護師が大きく関与しています。そこで病棟別に残日数と損失額の視覚化したグラフが次図です

 

 

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 上図では病棟コードの37病棟で-1077日、損失額は4086万円と最も多いことがわかります。では37病棟での疾患別の残に数と損失額を見てみましょう。

 

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 上図では心不全で-586日、損失額で2168万円であることがわかります。高齢者に多い心不全では、在宅で安心して生活できるように十分なケアをしてからの退院をすることが望まれます。

 

 

 そのため栄養科による栄養指導や、薬剤の服用に対する薬剤師の指導、さらに心大血管リハビリの実施で日常の生活で活動できるようにリハビリ実施等のチーム医療での対応が検討できます。

 

 

 以上のように、データを視覚化し、課題と効果的な改善策を検討する上で、データ提出加算を取得している病院のデータあるいは、レセプトデータをこのベッドントロール視覚化ツールにアップロードすれば病院職員で改善策を実施できます。

 

 

 

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リハビリの質の改善と増収策の見える化

 

【病院でのリハビリテーションの課題とは】

 

 

病院でのリハビリテーションの課題には、以下のような状況がよく発生しています。

 

 

  • 外来と入院のリハビリに対応するには適正な人員配置は何人か

 

  • 早期のリハビリ介入がどの程度できているのか

 

  • リハビリ職員を増やしてきたが単位数と収入が増えない原因は何か

 

  • 質の向上は実績指数のほかに何があるのか

 

  • 患者当たりのリハビリ単位数/日は増えているのか

 

  • 地域包括ケア病棟のように実施されたリハビリがどの程度包括されるのか 

 

 

 

リハビリは急性期・回復期・慢性期・在宅と患者の様々なニーズに対応して実施されています。

また脳疾患・整形外科疾患・循環器疾患などでADL(日常生活動作)とFIM(機能的自立度)の改善に効果があります。

また早期リハビリの開始を含めて、リハビリ職員が関わる患者に対するリハビリの実施状況が増加すると、質の向上と収入増が実現できます。

 

 

1、外来と入院のリハビリに対応するには適正な人員配置は何人

 

 

リハビリでは、通常入院患者でのリハビリが多く、外来では少ないのが通常です。

 

下図に示すのは数十病院の入院と外来のリハビリ単位数を百分率で示したものです。

オレンジ色は入院、青色は外来です。

入院でのリハビリ実施単位数が多く、青の外来は少ないことがわかります。

 

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リハビリでは標準18単位/日、24単位/日を上限に、週では108単位まで実施が認められていますので、外来での週単位のリハビリ実施単位数に対して、108単位で除すると、適正なリハビリ職員数を試算できます。

 

 

では事例として、ある病院(下図)の週単位のリハビリ実施単位数(回数)の推移を見てみましょう。

およそ80~160単位/週ですので、108単位/週/人として1~2人の配置が適正と試算できます。

 

 

例えば、人件費に福利厚生費を含めて480万円の場合、年間での平均稼働日数は240日とすると、2万円/日の人件費+福利厚生費に対して、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)(1単位)180点ならば、2万円÷1800円で12回以上/日以上のリハビリの実施がないと収入に対して、人件費+福利厚生費の方が多くなってしまうこともわかりますので、外来での人員体制の適正化では人員を多く配置すると収入への課題となりやすいといえます。

 

 

この病院では2名の配置をする場合には、リハビリ実施する患者数を増やさないと経営的には厳しいことがわかります。

 

 

外来の週別の実施リハビリ単位数の推移 

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では、入院での適正なリハビリ職員の配置が何人なのかを見てみましょう。

事例として同じ病院(下図)の週単位のリハビリ実施単位数(回数)の推移を見てみましょう。

 

およそ700~1120単位/週ですので、108単位/週/人として10~11人の配置が適正と試算できます。

土日に職員の勤務が少なくなる場合や、新入職員の育成期間には、数名の余裕人員が必要な場合もありますので、

これらを考慮して適正人数の配置を検討しましょう。

 

入院の週別の実施リハビリ単位数の推移

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また、週別のリハビリ単位数の推移をみると週ごとに大きくばらつきがあることもわかります。年末年始やGWの時期に実施単位数が減ることは想定できますが、それ以外の時期でばらつきが大きいならば、リハビリ実施患者に対する運用体制に課題があるので、改善余地はあるものと考えられます。

 

 

 

2、早期のリハビリ介入がどの程度できているかを見える化する

 

早期のリハビリ介入ができれば、ADLやFIMの向上が望めるため、実施できているかどうかを調べるには、下図のように入院の日別にリハビリの実施単位数が入院日から数日以内に大きく増加しているかどうかを見てみるとわかります。

 

 

縦軸に入院からの日別の日数となっており、1日目~35日目までの期間で、リハビリの実施単位数が最も多いのは8日目となっていますので、リハビリの介入は若干遅れていることがわかります。

 

 

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早期のリハビリでは早期リハビリテーション加算、初期加算の算定が可能ですので、リハビリの実施状況とともに比較してみると下図のように課題がわかります。

 

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図左の日別のリハビリ実施単位数に対して、図中の早期リハビリ加算の算定状況は、ほぼ算定できていることがわかりますが、初期加算の算定状況はリハビリの実施単位数に比べて少ないことがわかります。

 

 

従って、リハビリ医がいる14日まで算定できる初期加算の算定を徹底すれば大きく収入が増加することがわかります。

 

 

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3、リハビリ職員を増やしてきたが単位数と収入が増えない原因は何かを見える化する

 

リハビリを実施する患者の増加とともに職員の増員をする病院も多い中で、単位数と収入が想定よりも増えない原因には、主に3つあります。

 

 

1つ目は、リハビリ効果の高い疾患に対して、高いリハビリ単位数の実施が行われていないため、効率が落ちて収入に影響している場合です。通常リハビリ収入の多い疾患は、脳血管疾患と整形疾患などリハビリ実施が患者のADLやFIMの改善に効果があることが臨床的にも評価されているものです。

 

 

2つ目は、リハビリ職員増で、職員育成のための管理する職員が増えるにつれて、その職員の実施できるリハビリ実施単位数が減少することと、患者増に対する記録業務が増えて、収入に影響する場合です。

 

 

3つ目は、地域包括ケア病棟のように、2単位以上のリハビリを実施しても、入院料に包括されてしまうために収入が伸びないというものです。

 

 

では、神経系疾患の内、1日当たりのリハビリテーション単位数が同一の患者におけるFIMの変化について(脳血管疾患)について回復期リハビリテーション病棟協会が調査した結果を下図に示しますが、リハビリの単位数が増えるにつれてFIMの利得も向上しているのがわかります。

 

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                                       一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会より

 

 

次に、整形疾患では、1日当たりのリハビリテーション単位数が同一の患者におけるFIMの変化について下図に示しますが、脳血管疾患ほどではないにしろ、リハビリの単位数が増えるにつれてFIMの利得も向上しているのがわかります。

 

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                                      一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会より

 

 

 

下図に示すのは、ある病院の入院リハビリの実施単位数の降順で、左からリハビリ単位数、平均リハビリ単位数、収入です。

 

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最もリハビリ単位数も収入も多いのは脳梗塞で、次に非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)、股関節・大腿近位の骨折、心不全、誤嚥性肺炎となっています。平均リハビリ単位数は、それぞれ3.46、3.68、2.32、1.52、2.32となっています。

 

 

リハビリ単位数が多い疾患で、1日当たりの平均リハビリ単位数が向上すると、FIMが向上するため脳血管疾患や整形疾患でのリハビリ実施を強化すると同じ人員体制でも質を上げながら、増収も可能となります。

 

 

従って、リハビリ職員の増員をした場合に、脳血管疾患や整形疾患での平均リハビリ実施単位数が少ない場合に、想定したよりも収入が伸びていない原因であることがわかります。

 

 

実施体制を強化した前後で、これらを比較すると改善効果の確認もできます。

 

 

 

4、質の向上は実績指数のほかに何があるのか

 

4-1、JCSの評価

FIMの評価による実績指数はリハビリテーションの実施で広く利用されていますが、様式1(FF1)の情報には、回復期リハビリテーション病棟に入棟・退棟した患者しか記載がないため、回復期リハビリテーション病棟を持たない病院では別の質の向上の指標を利用します。

 

 

例えばJapan Coma Scale(ジャパン・コーマ・スケール、JCS)です。JCSは以下の3段階に分けて評価します。

 

Ⅰ.覚醒している(1桁の点数で表現)

   0 意識清明

   1 見当識は保たれているが意識清明ではない

   2 見当識障害がある

   3 自分の名前・生年月日が言えない

 

Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する(2桁の点数で表現)

   10 普通の呼びかけで開眼する

   20 大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する

   30 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する

 

Ⅲ.刺激しても覚醒しない(3桁の点数で表現)

   100 痛みに対して払いのけるなどの動作をする

   200 痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする

   300 痛み刺激に対し全く反応しない

 

この他、R(不穏)・I(糞便失禁)・A(自発性喪失)などの付加情報をつけて、JCS 200-Iなどと表します。

 

 

では、事例の病院で最もリハビリ単位数の多かった脳梗塞に対して入院時JCSと退院時JCSを4年間分の患者で実患者数・総単位数・平均単位数で比較してみると下図となります。

 

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Ⅰ.覚醒している入院時JCSで0~3は802人と最も多く退院時JCSも0~3は平均3.06単位/日ですが、退院時JCSが10~30では2.17単位/日、100~300では1.74単位/日と減少しています。

 

Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する入院時JCSで10~30は121人と次に多く退院時JCSも0~3は平均3.09単位/日ですが、退院時JCSが10~30では2.47単位/日、100~300では1.85単位/日と同様に減少しています。

 

Ⅲ.刺激しても覚醒しない入院時JCSで100~300は27人と少なく退院時JCSも0~3は平均2.53単位/日ですが、退院時JCSが10~30では2.56単位/日、100~300では1.47単位/日と少ないことがわかります。

 

 

リハビリ実施単位数を増やして退院時JCSを改善することが質の向上に効果的であるかを見てみましょう。

 

 

 

5、 患者当たりのリハビリ単位数/日は増えているのか

 

5-1、JCSの評価でのリハビリ単位数/日の向上

では同じ事例病院での直近1年間の入院時JCSと退院時JCSを実患者数・総単位数・平均単位数で比較してみると次図のように改善して、質が向上しているのがわかります。

 

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Ⅰ.覚醒している入院時JCSで0~3は退院時JCS0~3の患者だけになり、平均3.75単位/日と4年間の平均3.06単位/日と比べ増加しているのがわかります。

 

Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する入院時JCSで10~30で退院時JCSは0~3と改善した患者では、平均3.78単位/日と4年間の平均3.09単位/日と比べ、増え、退院時JCSが100~300の患者はなくなっています。課題は、退院時JCSが10~30の2人の患者では2.29単位/日と少ないことです。

 

Ⅲ.刺激しても覚醒しない入院時JCSで100~300は退院時JCSも0~3は平均4.27単位/日と4年間の平均2.53単位/日と比べて大きく増加し、退院時JCSが10~30や100~300の患者がなくなっていることは、質の向上とともに、必要な患者当たりのリハビリ退位数が増えていることをJCSの比較で確認できます。

 

 

5-2、ADLの評価でのリハビリ単位数/日の向上

ADLスコアの評価方法とは食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴=、平地歩行、階段、更衣、排便管理、排尿管理の評価項目に対して自立・一部介助・全介助で下図で示すように入院患者の状況を評価する方法です。

 

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質の指標の評価では、前述の事例病院の3番目にリハビリ単位数の多い股関節・大腿近位の骨折での、入院時のADLと退院時のADLを比較した質とリハビリの効果を見てみると下図のようになります。

 

 

入院時と退院時のADLをそれぞれ0~5、6~10、11~15、16~20の4つに分類して比較してみます。

 

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4年間の症例を基に、大腿骨近位骨折では入院時ADLが0~5と低い患者が最も多く、退院時ADL0~5では1.69単位/日、6~10では1.85単位/日、11~15では2.56単位/日、16~20では2.77単位/日と平均リハビリ単位数が増加するにつれてADLが向上しています。

 

 

では、直近の1年間の症例を基に、患者当たりのリハビリ単位数/日は増えているのかを確認してみると下図のようになります。

 

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大腿骨近位骨折では入院時ADLが0~5で、退院時ADL11~15では3.24単位/日と4年間の平均2.56単位/日よりも大幅に増加し、16~20では3.42単位/日と4年間の平均2.77単位/日よりも大きく増加しています。平均リハビリ単位数が増加するにつれてADLが向上した患者が増加していますので、患者当たりのリハビリ単位数/日は増えてADLも向上していることがわかります。

 

 

一方で、入院時ADLが0~5で、退院時ADLも0~5では1.84.単位/日と4年間の平均1.64単位/日よりも増えてはいますが、退院時ADLが変わらなかった患者では、廃用症候群リハビリテーション実施も多い高齢者となっています。

 

 

疼痛管理が有効とされており、全例に消炎鎮痛剤が投与されており、栄養状態の改善に摂食療法も実施されていますが、リハビリ実施に対する意欲向上には、在宅での生活での多職種のかかわりが今後の課題となっています。

 

 

6、 地域包括ケア病棟のように実施されたリハビリがどの程度包括されるのか

 

地域包括ケア病棟では、リハビリを実施した患者にはリハビリ2単位/日を実施しなければならないですし、それ以上実施しても入院料に包括されてしまします。しかしながら2単位以上のリハビリを実施している病院も多くあることが厚労省の診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会でも報告されています。

 

 

さて、それではどのくらいのリハビリが包括されて、金額ではどの程度かを、ある病院の事例として年間で示したものが次図となります。データの抽出方法は、データ提出加算をとっている病院のEFnファイルから、収入と行為として実施した明細金額収入を比較できるようにしています。

 

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2番目の廃用症候群リハビリテーション料から呼吸器リハビリテーション料まで、収入は包括されるために0円となっています。

 

 

一方で、真ん中の明細収入では廃用症候群リハビリテーション料は781万円、運動器リハビリテーション料で597万円、脳血管リハビリテーション料で57万円と1400万円以上のリハビリが包括されていることがわかります。

 

 

また、一番右の平均回数でも、2.89~4.04回/日と2単位を大幅に超えて患者に対して実施していることがわかります。

これを収入の機会損失とみるか、あるいは広くリハビリ実施できる患者を獲得するための投資とみるかは、病院の戦略上で大きく異なります。

 

 

この事例病院では、回復期リハビリテーション病棟も持ち、リハビリ強化で患者獲得を強化する対策をとっているため、セラピストの増員と地域包括ケア病棟での包括されるリハビリは投資対象としています。病院のとる戦略によって、包括されるリハビリの量も大きく変わるということです。

 

 

データの分析ツールの使用料

データはDPCデータでもレセプトデータでも使用は可能です。レセプトデータの場合には個人情報を匿名化する国立国際医療研究センターのレセプト匿名化ツールを使ったデータで送付していただければ分析ができます。

 

1か月間は無料で利用できますので、お問い合わせ等は以下にご連絡ください。

株式会社サイプレス ℡:03-32632074 メールアドレス:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。

  

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外来での管理料と加算算定率向上の見える化

 

【外来での管理料と加算の課題とは】

 

病院での外来での管理料と加算の課題には、以下のような状況がよく発生しています。

 

 

  • 外来で算定できる管理料や加算の請求漏れが発生していないか?

 

  • 管理料や加算の算定で他の医療機関と比べて少ないのは何か?

 

  • まったく算定できていない管理料や加算を調べる方法はあるのか?

 

 

課題を発見するためのナショナルデータベースとの比較

厚労省のナショナルデータベース(NDB)には、初診や再診での管理料や加算の算定件数が全国の医療機関の集計値として公開されています。従って診療所や病院の外来で算定可能な管理料や加算での算定で少ないものを抽出することができます。

 

 

全国算定率は外来患者の内、それぞれの管理料や加算の算定件数を元に算定率を求めています。

 

 

 

1、外来での管理料や加算の算定漏れの状況を確認する方法

 

全国算定率(降順)と自院の算定率を比較して、少ない診療行為を抽出します。

 

 

以下に病院Aの事例を元にその方法を説明します。

病診区分は、算定対象を病院・病院診療所・診療所に分けています。

 

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例えば、薬剤情報提供料の全国算定率は11.91%ですが、病院Aの算定率は1.24%と低く、延患者数は1911人となっています。

では病院Aの算定率が全国算定率と同等となった場合の改善金額を試算してみましょう。

 

 

1911人x11.91%÷1.24%=18,355人となります。従って18,355人-1911人=16,444人は算定率が同等になった時の患者数となります。薬剤情報提供料の点数は10点なので16,444人x100円=164.4万円の増収の可能性があることがわかります。

 

 

同じようにして全国算定率と比べて特に低い診療行為を抽出すると改善効果の高いものを選ぶことができます。同様の試算をやってみると改善金額を算出することができます。

 

 

皮膚科特定疾患指導管理料(2)、在宅持続陽圧呼吸療法材料加算

これらは皮膚科の専門医がいるか、在宅診療を実施しているかという病院の体制も考慮して試算をしましょう。

 

 

 

2、まったく算定できていない管理料や加算を調べる方法

 

病院でも全く算定できていない管理料や加算を調べるには、全国算定率の数値があるもので自院の算定率で算定されていないものをリストにしたものが以下です。

 

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病院Aの算定率と延患者数が空白になっているものが該当します。

これら診療行為では、特に全国算定率が高いもので、自院の算定率が空白となっているものが対策として実施できるものです。

 

 

病院の場合には診療行為で、病床規模によって算定できるものとできないものがありますので、対象となるものを選んでください。

例えば100床未満の病院、100床以上200床未満の病院、200床以上の病院を除くなどです。

自院の病床規模に該当する診療行為をご検討ください。

 

 

 

 

3、外来での管理料と加算の算定率見える化ツールのトライアル利用

 

データはDPCデータでもレセプトデータでも使用は可能です。

レセプトデータの場合には個人情報を匿名化する国立国際医療研究センターのレセプト匿名化ツールを使ったデータで送付していただければ分析ができます。

 

  1. 1か月間は3万円
  2. 3ヶ月間は5万円
  3. 6ヶ月間は8万円
  4. 12ヶ月間は12万円

 

お問い合わせは以下にご連絡ください。

 

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外部環境分析の見える化とは ― 病床機能報告

 

【外部環境分析の課題とは】

 

 病院での外部環境分析の課題には、以下のような状況がよく発生しています。

 

 

  • 近隣地域の外部環境分析をして将来構想をどう作成したらいいのか

 

  • 新規入院患者増加のための方法と競合の情報を知りたい

 

  • 競合と自院の比較をしたいがどうすればいいのか

 

  • 病床機能報告を分析したら何がわかるのか

 

 

地域の課題を発見するための病床機能報告の見える化

病床機能報告には全国の病院の病棟別の機能や患者数、入退院経路など詳細な情報が公開されています。

 

 

これらの情報を組み合わせて分析することで、地域の医療提供体制から自院の地域でのポジションや競合病院との比較を行うことができ、自院の地域戦略戦術を策定するための方法を示します。

 

 

これから示す分析は下記ツールで、どなたでも無料でご利用いただくことができますので、

是非自院の地域のデータを併せてご覧ください。

 病床機能報告見える化ツール(ご利用無料)

 

1、地域の病床機能別病床数から戦略を考える方法

 

病床機能別(高度急性期/急性期/回復期/慢性期)の病床数を例えば同規模の人口の地域比較することで、自院の属する医療圏の地域での機能別病床数が多いのか少ないのかを明らかにすることができます。

 

 

下図はどちらも県庁所在地が含まれる岩手県盛岡医療圏(図左)と福島県県北医療圏(図右)の病床機能別の病床数比較です。

両医療圏は人口も約46万人と同規模ですが、機能別病床数を比較すると盛岡医療圏は回復期、慢性期病床が多く、県北医療圏は急性期に一極集中して多い地域であることがわかります。

 

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どのように戦略を考えるか・・・

 

 

例えば自院が回復期の病院であった場合、回復期病床数の多い岩手県盛岡医療圏は競合が多いことを意味しており、競合と異なる強みを打ち出す差別化戦略を作ることが必要です。

 

 

一方で回復期病床数の少ない福島県県北医療圏では、競合が少ないため競合より早く急性期からの紹介患者獲得ルートを固めることが有効です。

 

 

 

2、患者獲得で強化すべき入院経路とは何かを調べる方法

 

日本の多くの地域では人口減少に直面しており、新規入院患者獲得はどの病院にとっても重要課題です。

ただし、救急、外来、紹介、介護施設と全方位的に対策を同時に行うのは限られた人員で業務負担が大きくなります。

効果的に新規入院患者を増やすには、現時点で最も多くの患者を獲得している入院経路(=ニーズが高い入院経路)が何かを知り、それがこの先も拡大できるのか、できないのかを考えることです。

 

 

下図左は新規入院患者数、下図右は入院経路別の構成比を表しており、自院の最も多い経路と競合を確認します。

家庭からの入院が多い場合に、人口減少で外来患者が減るかもしれないことを検討します。

自院の最も多い入院経路が他の病院、診療所からの転院の場合、患者構成比50%以上を占める栃内第二病院、南昌病院、東八幡平病院、いわてリハビリテーションセンター、盛岡南病院、荻野病院が主に競合関係にあると考えられます。

競合と異なる強みを打ち出す差別化戦略で患者シェアを拡大することはこれらの病院の課題になります。

 

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3、患者獲得地域と競合から課題を検討する方法

 

下図のように病院を地図上にプロットし、患者数を円の大きさで表すとどこの病院に患者が集まっているかがわかります。

 

また、病床機能によって色分けすることで、急性期/回復期など、どの機能の患者を集めているかも見える化することができます。

 

 

 

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どのように考えるか・・・

 

近隣に競合が多い場合、大規模病院では規模を活かした多数の診療科で患者獲得しますが、課題は規模の維持強化です。

規模で競合に負ける場合には、強い診療科、専門分野に特化して患者獲得ができるのか、あるいは病床のダウンサイジングを考える必要があるのかを検討します。

 

 

近隣に競合が少ない場合は近隣住民に望まれる外来や在宅医療、レスパイト入院等のサービスを整備して患者確保することも有効です。ただし、人口が減少する地域である場合は患者数の減少が予測されるため、患者獲得地域の拡大を検討する必要もあります。

 

 

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4、人員体制の少ない休日・夜間・時間外受診からの入院患者獲得の課題

 

下図は病床機能報告に記載されている休日受診、夜間・時間外受診の延べ患者数(棒グラフ)と、うち入院になった患者数から、それぞれの入院率(赤折れ線)を計算したものです。

 

画像38

 

施設によって入院率にばらつきがあり、他院と比較して入院率が低い場合には、中等症以上の入院を必要とする患者が少ないのか、あるいは人員体制が少ないので職員不可が高くならないように入院するハードル設定が高くなっている可能性もありますので、課題を分けて検討します。

 

 

特に高齢者は休日・夜間・時間外受診後にも在宅で悪化する不安や帰宅の負担があるため、一旦入院で受入れて状態安定後に退院することは、時に必要な場合もあります。

 

 

 

5、転院患者の獲得ターゲット病院はどこかと競合の転院患者数を知る方法

 

回復期・慢性期機能の病院は急性期治療後の在宅復帰準備やリハビリを必要とする患者、長期療養を必要とする患者の獲得が課題であり、急性期病院からの転院も重要な入院経路になります。

 

 

下図の左地図は退院先が「他の病院、診療所への転院」の患者数を円の大きさで示しています。回復期・慢性期の病院では、転院患者を増やすために円の大きい転院患者を多く送る紹介元の病院をターゲットにして連携を強化することがポイントです。

 

 

下図の右地図は新規入棟患者数のうち「他の病院、診療所からの転院」の患者数を円の大きさで示しており、競合となる施設の立地と転院患者獲得数がわかります。

 

 

左の地図でターゲットとする紹介元の病院の立地に対して、紹介元の病院に自院が近く、立地が競合に対して有利に働くかを確認し、立地を生かした連携戦術をとるか、別の価値(例えばリハビリの質や転院相談に対する即応体制など)の強みを活かす戦術をとるかを判断します。

 

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6、自院の平均在院日数は全国の施設と比較して長いのか、短いのか

 

病床機能報告に記される病棟別の延べ患者数と新規入棟・退棟患者数から全国病院、各病棟の平均在院日数を求めることができます。下図は「地域包括ケア病棟入院料1」の平均在院日数が長い施設順に示したもので、中央値は28.43日になっています。

 

画像40

 

 

病棟別の届出入院料の違いを全国の病院と比較できるので、病棟ごとの機能が違っていても退院までの日数運用が短いのか、長いのかを知ることができます。

 

 

新規入院患者が増えても収入が上がらない病院の中には、在院日数が短くなっている病院が多く、全国平均在院日数を用いたベッドコントロールにより増収することも可能です。

 

 

 

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