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開業医に発想力が必要な理由 医療環境変化に対応するため積極的なアクション必要 - 医療,病院,コンサルティング,株式会社サイプレス

 

 

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開業医に発想力が必要な理由

医療環境変化に対応するため積極的なアクション必要

 

 

株式会社 サイプレス 
代表取締役 伊藤雅教 

 

「何か妙案はないものか・・・」と頭を抱えている読者も多いだろう。診療報酬マイナス改定に引き続き、医療法をはじめとした関連法も重大な改正を控えている。しかし、開業医を続けていくならば、今後も同様の厳しい医療環境の変化に対してすぐに対策を考え、講じる能力が必要となる。そこで「発想力」について、医療コンサルタントで株式会社サイプレス代表取締役を務める伊藤雅教氏と、多摩大学医療リスクマネジメント研究所教授の真野俊樹氏に話を聞いた。

.医療環境は年々悪化、変化は避けて通れない

開業医の先生方には、“消費者”を喜ばせるということを学んでもらいたいと思います」と強調するのは、外資系企業から転身、独立して医療コンサルティング業務を行っている伊藤氏。続けて、「コンビニエンスストアや外食産業などには、顧客が望むサービスをもっとも短時間で提供するためのマニュアルが必ず存在しています。しかし、診療所ではそうしたものはまず存在しない。異業種から学べるものは数多くあります」と指摘する。
伊藤氏がこのように語る背景には、表が示す診療報酬改定の変遷を見ても分かるとおり、医師にとっての医療を取り巻く環境が悪化している状況がある。「今から10年ほど前は、医療環境が現在ほど変化していなかった時代だと思います。院長がまじめに医療を提供してさえいれば、右肩上がりで成長できていました。しかし近年は、診療報酬改定や医療制度改革などの環境変化が急激なものとなっているという印象があります」 また、情勢と医療機関のマネジメントに詳しい真野氏は次のように語る。 「昨今の開業ブームで希望的観測を唱える人もいますが、今後、開業医の競争は間違いなく厳しくなっていくと私は思います」同氏の分析によれば、政府による社会保障費削減に伴う診療報酬抑制と新規参入診療所の増加がその理由として挙げられる。 「診療報酬に関しては、今後は間違いなく厳しいものになる。これには疑いの余地はないでしょう。また、診療所の数が間もなく10万に届くとも言われていますが、こうした状況では1診療所あたりの患者数が減少していくのはもはや自明の理といえます」 制度改革などによる将来の医療環境の変化を、真野氏のように予見することはそう難しくはない。今後は心労報酬のマイナス改定が政府の規定路線となることも十分ありうる。また、保険法改正により患者の受診行動が変化していくことも過去の歴史から想定できる。さらに言えば、こうした変化は開業医である以上、引退するまで避けては通れないのである。


2.マーケティングと営業で「待つだけ」経営から脱却

このような医療界の激動期を、開業医は果たしてどのように切り抜ければよいのだろうか。 「競争が激しくなるなかでは、ただ患者を待つだけではなく、医療においてもマーケティングを行うことが必須です。それにおいては医師が発想したアイデア一つが効果的に働くこともあります」と真野氏は語る。 アメリカ・マーケティング協会の定義では、マーケティングは「個人や組織の目的を満たす諸交換を生み出すために、アイデア、商品、サービスのコンセプト、位置づけ、販売促進、流通を計画し、実行する課程」であるという(真野氏)。簡潔に言えば、「商品を生産から消費に持ち込むための機能」となる。「ただ患者を待つ」はこの対極に位置するものなのである。 さらに、マーケティングを行う際に重要となる項目として「Commodity」(商品)、「Channel」 (経路)、「Cost」(費用)、「Communication」(コミュニケーション)といった4つのCが存在する(真野氏)。「Commodity」はサービス、「Channel」は立地などの利便性、「Cost」はサービスに必要な費用、「Communication」は情報提供や広報活動などに置き換えられる。これら4Cのなかで医師個人の発想力を生かすことができる項目は「Communication」である。ここで発想力があれば、有効な情報提供方法や広報方法を思いつくことにより有効なマーケティングを実行でき、「ただ患者を待つ」だけの状況を脱却できるだろう。 また伊藤氏も同様のことを強調する。同氏は、生き残りの集患のために必要な事項として医師による「営業」活動を挙げる。「診療所を開業したら、病院へ営業に出向き、地域の講演会に出席するなどはもはや当たり前です。昔は診療所の数がそれほど多くなかったので、営業をせずとも患者が受診してくれたのでしょう。しかし診療所が増加している現在、実際に患者が集まる診療所と、いつもガラガラの診療所という二極化が見られつつあります。トップである院長の能力次第なのです」(伊藤氏)。

3.規制に護られた医療界、異業種からこそ学べる
以上のように、生き残りのために積極的なアクションが必要とされている状況のなかで、発想力を育てるためのヒントは一体どこに求めれば良いのだろうか。その問いに対する回答は、医療界の外、異なる業界にある。 客観的に見れば、医療界は規制によって護られてきた業界である。制度改革によって揺さぶりをかけられている現状でも、他の業界よりはまだ幸運だといってもよい。そんな医療関係者にとっては、冒頭にある伊藤氏の言葉のように、異業種から学べることは多いのではないだろうか。(後略)
 

日本医療企画 発行 「CLINIC BAMBOO」 2006年6月号より転載

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